日本初の星空保護区「西表石垣国立公園」

日本初の星空保護区「西表石垣国立公園」

日本が誇る世界屈指の星空環境

2018年3月、沖縄県・八重山諸島に位置する西表石垣国立公園が、国内初の「星空保護区」に認定されました。アジア全体で2番目、世界では59番目の「ダークスカイ・パーク」となります(星空保護区全体では96番目)。

西表石垣国立公園の天の川 photo by Coral-foundation西表島

日本の最南西端、八重山諸島に位置する西表石垣国立公園は、約406.53平方キロメートルの陸域面積をもちます。台湾からは東に約270キロメートルの距離で、亜熱帯特有の自然景観が広がっています。サンゴ礁に囲まれた島々には、数多くの希少な動植物が生息しており、その中には自然のままの暗闇を必要としているヤエヤマヒメボタル(八重山の固有種)も含まれます。

実際に専門家による夜空の暗さの調査では、基準(20.00mag/arcsec²以上)を大きく上回る21.62〜21.99mag/arcsec²の測定結果が得られ、八重山諸島の星空は世界トップレベルであることがわかりました。この非常に優れた星空環境を保護していくため、2017年7月、石垣市と竹富町が西表石垣国立公園陸域内(40,653ha)を「ダークスカイ・パーク」として国際ダークスカイ協会(IDA、米国アリゾナ州)に申請しました。

IDAは、同国立公園に改修が必要な屋外照明が多数あることから、現時点では“暫定” 認定としました。自治体は「屋外照明管理計画」を整備し、2023年度までに国立公園内の全ての屋外照明を光害対策型に改修する計画です。今後、屋外照明の改修という課題はありますが、現状において八重山諸島の星空が世界基準で認められた形となり、この星空資源を活用した地域の観光振興が期待されます。同時に星空の大切にする機運が益々高まり、八重山諸島の夜の自然環境や固有の生態系が持続的に保全されていくことにもなります。

スコット・フィーラベンド氏(国際ダークスカイ協会エグゼクティブ・ディレクター)「日本初となる星空保護区を本日発表できることを、大変うれしく思います。暗い夜空の価値に対する日本の方々の意識が高まっているという重要なサインであり、同じような保護区がアジアでさらに広がっていくことを期待しています。」

越智信彰氏(国際ダークスカイ協会東京支部代表、東洋大学准教授)「日本は世界の中でも特に夜が明るい国の一つです。今回の認定によって、日本の多くの人々が明るすぎることの問題点に気づき、また自然の夜空の美しさ・自然の暗闇の大切さを再認識するきっかけになってほしいと思います。」

上野貴弘氏(一般社団法人星空保護推進機構 代表理事、星空ツーリズム株式会社 代表取締役)「八重山諸島の星空が国際的に認められたことは大変光栄です。日本初の星空保護区として、人の暮らしと星空や夜の生態系が共存する街づくりをリードし、暗い夜空の価値を国内外に発信できればと思います。」

IDA Website
Iriomote-Ishigaki National Park (Japan)

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